
小梨の咲く頃になりました。
小屋の入り口のところで今咲いている花は半分朽ちたような木から伸びた枝のものです。

以前この木の前に大きな小梨の木があって入り口の方に延ばした枝にはよくバトミントンのシャトルを引っかけ,またバレーボールのネットを結びつけたりしてあの頃の私たちの遊びの中心でした。
毎年見事な花を付け,その下で花見をしたのも懐かしい思い出です。

その木は30年ほど前に工事の重機が当たって,ぼっきり折れてしまいました。芯に腐りが入っていて脆くなっていたのです。
次の年の春,折れた木に隠れて,ほとんど朽ちていると見えた木が枝を伸ばし,数個の花を付けました。
遮られていた日光が届き,ようやく時を得た木は年ごとに枝を伸ばし,花を増やし今の姿になりました。
木というものは何とすごいものかと毎年花を見ながら感じ入ってしまいます。
上條 久枝
